フランジバック計測方法と計測の問題



 フランジバックの計測には、デプスダイヤルゲージ(テクロック社製、DM-202D)を使用している。このゲージの1目盛りは1/100mmであるので、上手に使用すれば、数μm程度の精度で計測する事が可能である。また、念のため、カメラにはフィルム(コニカセンチュウリア200 24枚撮)を入れ、5枚程度撮影した状態で測定しています。測定は、マウント面とフィルム表面の距離です。



 しかし、実際に使用すると、精密な計測には、いろいろな問題が生じる。
 このゲージは無荷重時0復帰するように、内部にバネが入っている(左図)。このバネのため、実際に測定する時は100g重程度の荷重が生じる。しかし、このままでは、フィルム圧板を強く押しすぎて、正確なフランジバックを計測する事ができない。そこで、右図のように内部のバネをはずして、フィルム圧板を押さないようにした。
 バネをはずす事により、強い力でフィルム圧板を押すことはなくなった。しかし、フィルム圧板を押さないと、フィルムに接しているか否かの判定ができない。そこで、指で軽く押すことにより、フィルム面に接触させた。しかし、いくら軽く押したとしても、0荷重で押すことはできないので、フィルム圧板はたわんでしまう。このたわみ量を、計測する事ができないという、問題が生じた。


 精密な計測が必要な時は次のようにします。
 ゲージ内部のバネは入ったままにして、上をいろいろな力で引っ張って、引っ張り力と、ゲージ指針の関係を図にプロットし、そこから、無荷重時の計測値を求める。
 
 このようにすればよいのですが、面倒だからしていません。

 次に、デプスダイヤルゲージ自重の問題があります。まず、簡単な構造解析の問題から。
 
 半径5cmの円板に半径2cmの円穴があいているとき、穴に均等に250g重の荷重をかけたときに、穴の部分はどれだけたわむだろうか。1.5mm板厚のアルミニウムで、円板外周が完全に固定されている(剛固定)場合の理論値は、5.8μmである。

 使用している、デプスダイヤルゲージは250gあるので、ある程度、マウントがたわむと思われますが、この影響も全く無視しています。

 以上まとめると、私の計測には、思いつく範囲で2つの大きな欠点があり、計測精度を低下させている。
@デプスダイヤルゲージがフィルム圧板を押す力で、フィルム圧板がたわむ影響を排除していない。
 フィルム圧板のバネの力は、カメラボディーによって異なるので、この影響がどれくらいなのかは分からないが、カメラボディーによっては、数十μmかそれ以上の影響があるようである。
Aデプスダイヤルゲージをマウントに置く事により、マウントがたわむ影響を考慮していない。
 この影響は、10μm以下だと思うけれど、本当に無視してよいのか。

 
 三次元精密測定機(プローブ)を使えば、1μmの精度で計測する事など、簡単な事なのでしょうけれど、個人が使える器械ではないですね。


フィルム圧板について

 フィルム圧板のバネの力が弱い時、デプスダイヤルゲージがフィルム圧板を押す力で、フィルム圧板がたわむ量は大きくなる。
 FEDやZORKIのフィルム圧板は、下図左の円板であり、これを下図右の板バネ2個で押さえつける構造になっている。古いFEDではこの板バネが劣化しているのだろうか、弱い力でもたわむことがある。


 0.1mmまで測定できれば良い場合は、ノギスを使用します。この程度の精度だと、計測は容易です。


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