Zenit-6


 KMZ製レンズシャッター式一眼レフカメラ。
 ZENIT-6は1964〜68年に8930台製造されたレンズシャッターの一眼レフカメラです。同じマウントのレンズシャッターカメラにZENIT-4,5があり、これらも1964〜68年に製造されている。ZENIT-4,5,6をあわせても製造台数は4万台程度なので、結構珍しいということになります。(なお、ZENIT-11という名称のZENIT-4の試作機が数台製造されていることが知られている。これは、M42マウントのZENIT-11とはまったく関係ない。)
 ZENIT-4(おそらくずべて),ZENIT-5(たいてい)とZENIT-6の一部には、VEGA-3(52mmF2.8)が付属していますが、一部のZENIT-5と多くののZENIT-6には、ズームレンズのRUBIN-1が付属していました。このレンズはフォクトレンダー・ズーマーのコピーと言われています。

ZENIT-4,5,6の違い。
 ZENIT-4とZENIT-6の違いは分からない。私の手元にあるZenit-4はストラップ吊金具が付いていて、Zenit-6には付いていない。しかし、吊金具の付いていないZENIT−4や付いているZenit-6もあるようです。
 ZENIT-5はフィルム巻上げのモータードライブが内蔵されている。(ただし、電力は内蔵バッテリーで供給するようになっているため、たいていは、バッテリーがだめになっていて、モーターは動かない。)

 Zenit-4,6のバリーエションとして、ZENITの文字がラテン文字のものとキリル文字のものがあります。また、ストラップ釣り金具のあるもの、ないものがあります。さらに、シャッターレバーの色が黒いのもあるようです。(製造台数が少ないのに、何でこんなにバリエーションがあるのだろう。)


レンズシャッター

 レンズ交換可能なカメラであるので、シャッターがレンズの中にあるのではなく、レンズの直後にある。シャッターは絞りのような形状で、中央から開くようになっている。このため、ストロボは全速同調する。
 シャッターがレンズの直後にあるため、シャッターが閉じている時は、ファインダーも真っ暗である。ファインダーを見える状態にするためにはシャッターを開ける必要がある。このように、一眼レフのレンズシャッター機では、単一のシャッターですべてをまかなうことができない。ZENIT-4,5,6には、レンズ直後のシャッターの他に、フィルム直前に補助のシャッターがある。(これは金属板。)
 ZENIT-4,5,6では次のように動作する。(撮影後、ファインダーは暗くなったままであり、ファインダーが見えるのはフィルム巻上げ後である。)

<フィルム巻上げ時>
  シャッターは開。補助シャッターは閉。ミラーは降。になっている。
<シャッターボタンを押した時>
  @ミラーが跳ね上がる。
  Aシャッターが閉になる。
  B補助シャッターが開になる。
  Cシャッターが指定したシャッタースピード時間、開になり、その後、閉になる。
<フィルムを巻き上げた時>
  @補助シャッターが閉になる。
  Aミラーが降りる。(@と同時かもしれない。)
  Bシャッターが開になる。(この時初めてファインダーが見えるようになる。)

 シャッターを開けたり閉じたり結構複雑である。ZENIT-4,5,6にはクイックリターンミラーは無いが、クイックリターンミラーを実現しようとすると、シャッターの動作が一層複雑になる。このため、レンズシャッターの一眼レフカメラは廃れてしまったものと思われる。(1960年のトプコン・ウインクミラーが世界で初めてクイックリターンミラーを実現したレンズシャッター一眼レフでした。)



Zenit-6にRubin-1をつけたところ




ちょっとへんてこりんなデザインにしてみました。


ZENIT-4、ZENIT-6の説明
  マウント:専用バヨネットマウント(Zenit-4,5,6)
  シャッター:レンズシャッター
  シャッター速度:B,1〜1/500(全速シンクロ同調)
  ファインダー:アイレベルファインダー(プリズム取り外し可能。専用のウエストレベルファインダーもある。)
  ピント合わせ:スプリット、すりガラス面併用による実像合致方式
  露出計:外部測光。指針によりファインダー内表示
  フィルム感度:ISO20〜650
  フィルム装填:蝶番による裏蓋開閉式
  フィルムカウンター:順算式(自動復帰機能付)
  シンクロ接点:X,M-接点(全速シンクロ同調)
  セルフタイマー:なし
  付属レンズ:RUBIN-1(37-80mm F2.8) (フィルター径82mm)
  サイズ:141×103×64mm(ボディーのみ)141×103×173mm(付属レンズ込み)
  質量:860g(ボディーのみ) 1800g(付属レンズ込み) 
  カメラ番号:6700038(Zenit-4)   6600018(Zenit-6)
  製造:67年(Zenit-4)  66年(Zenit-6)   KMZ

  自動絞り:シャッターを切ったときに絞りを指定値に絞り込む。フィルムを巻き上げた時に開放にする。



付属レンズ RUBIN-1(37-80mm F2.8) の説明
  マウント:ZENIT-4,5,6専用バヨネットマウント
  レンズ構成:11群14枚(たぶん)
  F値:F2.8
  絞り:F2.8〜22(ボディー側で設定)
  絞り羽根数:6枚
  フィルター径:82mm(ねじ込み式)
  絞り形式:自動絞り
  最短撮影距離:1.3m
  サイズ:86×121mm
  質量:970g
  レンズ番号:3332
  製造年:不明であるがボディーと同じ66年と推定
  製造所:KMZ

 ズーミングに伴うレンズ長の変化や、フィルター枠の回転はない。ズーミング時は後群の移動は無い。距離リングによるレンズ長の変化や、フィルター枠の回転はある。後群の移動は無い。
 ピント合わせは、前群の前玉の方を前後させることにより行う。ズーミングは、前群の中間以降を移動(フローティング)させることにより行う。(たぶん。)



ファインダーが交換できます。左:普通のアイレベルファインダー  右:ウエストレベルファインダー

 ごつい、革ケースに入っています。


Rubin-1の撮影例  Rubin-1のページをご覧下さい

Vega-3の撮影例  Vega-3のページをご覧下さい


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