M39マウント1眼レフカメラZENIT3MおよびレンズHelios-44


Zenit3M

 Zenit3MはZenit3、Kristalの改良型として、1962年〜1970年にかけて78万台あまり製造された。製造数が多いためか比較的良く見かけるカメラである。


M39マウント(ゼニットマウント)

 M39マウントとは、ゼニット独特のスクリューマウントで、ゼニットマウントとも呼ばれます。これはライカLマウントと同じ39mmのねじ径で、フランジバックがM42とほぼ同じ45.3mm程度(M42マウントは45.46mm)のマウントです。このため,ライカLマウントレンズはそのまま付けることが出来ても、すべてマクロ専用レンズになってしまいます。これはこれで面白いのですが。
 また、M39マウントレンズをM42マウントのボディーに付けるためのマウントアダプターがありますが、厳密には微妙に無限大が出なくなります。なお、M39とM42マウントは見たところ似ていますので、購入の際、間違えないよう注意が必要です。
 M39マウントは1950年代初め頃のZenitに始まり、1962年〜1970年にかけて製造されたZenit3Mをへて、1970年代前半に製造されたZenit−E,Zenit−Bの一部まで製造されました。現在は製造されていません。
 

ファインダーミラー

 たいていの1眼レフカメラは、シャッターを切ったときにファインダーがブラックアウトしてしまいます。Zenit3Mは、シャッターを切ったときだけではなく、そのあとも、フィルムを巻き上げるまで、ファインダーがブラックアウトしたままになります。(クイックリターンミラーはZenit-E、Zenit-B以降です。)
 このカメラをはじめて使ったときはなんとも使いにくく感じました。でも、考えてみると、どのカメラでも、すでにシャッターを切ってしまったからにはフィルムを巻き上げるまでは再びシャッターを切ることは出来ません。どうせシャッターを切れないのならば、そのとき被写体がどうなっていようが、撮影者には関係ないはずです。Zenit3Mを使うと「撮れもしないときの被写体の様子を気にしても仕方が無いよ。自分に出来ることをしなさい。自分に出来ることは何かを考えなさい。」と、カメラに教えられているような気がしてきます。ロシアカメラはなかなか哲学的です。



説明
  マウント:M39マウント(ゼニットマウント)
  シャッター:メカニカルタイプ横走布幕フォーカルプレーンシャッター
  シャッター速度:B,1/30,1/60,1/125,1/250,1/500
  シャッターダイヤル:1軸回転式(フィルム巻き上げ後にシャッター速度を合わせる。)
  ファインダー:アイレベルファインダー
  ピント合わせ:すりガラス面よる実像合致方式
  ファインダー倍率:約1.0倍以上
   最近の1眼レフファインダーを見慣れているとファインダー像が大きく大変見やすく感じられる。
  ファインダー視野率:横方向80%未満(77%程度)、縦方向80%程度
  露出計:なし
  フィルム装填:蝶番による裏蓋開閉式
  フィルムカウンター:順算式(フィルム装填時0に設定することが必要)
  シンクロ接点:X-接点(1/30で同調)
  セルフタイマー:機械式、動作時間約10秒
  付属レンズ:Helios−44(58mm F2.0) (フィルター径49mm)
  サイズ:138×90×52mm(ボディーのみ)
  サイズ:142×97×96mm(付属レンズ付)
  質量:0.61kg(付属レンズなし)
  質量:0.83kg(付属レンズ付)
  カメラ製造番号の頭2文字:63
  製造年:製造番号から63年と推定
  製造:KMZ(クラスノゴルスク機械工場)

特記1:クイックリターンミラーではないので、シッターを切るとファインダーが暗いままになる。フィルム巻上げ時にファインダーが見えるようになる。(こういう仕様です。ファインダーが暗いままでも故障ではありません。)

特記2:アクセサリーシューは無い。(アクセサリーシューがついたのはZenit-E以降。)


 アクセサリーシューが無いので、手持ちでストロボ撮影はやめた方が良い。以前、阿武隈洞へZenit-3Mとストロボを持っていったけれど、使えなかった。ああいうところで、ストロボをカメラに固定できないようでは危ないので、Zenit-3Mは持ってゆかないほうが良い。ぜひとも、Zenit-3Mやそれ以前のZenitで阿武隈洞を撮影しようとは思わないことを勧めます。そんなことを言われなくても、Zenit-3Mやそれ以前のZenitなど使っている人はいないか。


付属品

  中古を購入したのでオリジナルの付属品は不明。
  革のケースが付属。


   使用説明書の裏表紙(左)と表紙(右)

  元箱上面



  使用説明書にある、ファインダー部分のレンズ構成図。




付属レンズ Helios-44(58mm F2.0) の説明
  マウント:M39マウント
  F値:F2.0
  絞り:F2,2.8,4.5.6,8,11,16
  絞り羽根数:8枚
  フィルター径:49mm(ねじ込み式)
  絞り形式:プリセット絞り
  最短撮影距離:0.5m
  レンズ製造番号の頭2文字:02
  サイズ:長さ43mm×最大径65mm 
  質量:0.14kg
  製造:KMZ(クラスノゴルスク機械工場)
  製造年:不明であるが、ボディーと同じ63年と推定される。

  レンズ構成:おそらくHelios-44−2と同じだと思います。







撮影例1(Zenit3M+Helios-44)  街中で、漫然と撮りました。

撮影例2(Zenit3M+Helios-44)  夏の終わり、猪苗代で撮りました。

撮影例3(Zenit3M+Helios-44)  花とトンボを撮っています。

撮影例4(Zenit3M+LマウントJupiter8) 静物を思い切り絞って撮ってみました。



使用説明:Zenit3Mの使用説明を作ってみました。間違えていても責任持ちません。もっとも大切な写真をいきなりロシアカメラで撮る人なんていませよね。


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