1眼レフカメラSTARTおよび専用レンズHelios-44
1眼レフカメラ開発の過渡期とも言えるSTARTです。このようなカメラはロシア物では他に例を見ません。
1958年から1964年にかけて、7万6千500台あまり製造されました。製造数からすると多少珍しいカメラですが、結構良く見かけるもので入手は容易です。
大変特徴のあるカメラである。
まず、レンズの横にある大きな棒がシャッターボタンとなっている。このため、ボディーの上にシャッターがあるカメラを使い慣れている身にとっては結構使いにくい。しかし、このようなところにシャッターがあるのは、ここにレンズの絞りを絞り込むメカニズムが入っているためで、ボディーとレンズに自動絞りピンが無いにもかかわらず、あたかも自動絞りであるような使い方ができる。自動絞りが当たり前な現在、何故このようなことをするのか理解できない人が多いと思うが、Zenit-Bなどのようなプリセットタイプの1眼レフを使ってみると、1眼レフが現在の完成された形になるまでの過程におけるカメラ設定者の努力が偲ばれる。
次に、ペンタプリズムが取り外せ、ウエストレベルで使用できる。また、ウエストレベル用の専用ファインダーもある。
さらに、装填中にフィルムをカメラ内でカットする機能がある。(巻き戻しダイヤルの横のつまみを引き上げる。)このカメラは、ダブルマガジンができるので、自分で現像する人に取っては大変重宝な機能であろう。
マウントは専用スピゴットマウントであるため交換レンズは少ない。ただ、ゼニットマウントレンズをつけるためのマウントアダプターが付属していたようであるが、私は持っていない。
シンクロ接点は2つある。1つは普通にシャッター全開と同時に短絡するもので、もう1つはシャッターを押したときに短絡するものである。
ファインダー視野率は90%以上とかなり広く、シャッター速度も1秒〜1/1000秒まであり、かなりハイスペックである。
しかし、まだミラーはクイックリターンになっておらず、ファインダーはブラックアウトしたままである。
このカメラではSTARTの文字はキリル文字であるがラテン表記のものもある。
説明
マウント:専用スピゴットマウント
シャッター:メカニカルタイプ横走布幕フォーカルプレーンシャッター
シャッター速度:B,1,1/2,1/4,1/8,1/15,1/30,1/60,1/125,1/250,1/500,1/1000
シャッターダイヤル:1軸回転
ファインダー:アイレベルファインダー(プリズム取り外し可)
ピント合わせ:スプリット、すりガラス面併用による実像合致方式
ファインダー視野率:90%程度以上(縦横方向共)
露出計:なし
フィルム装填:裏蓋底蓋一体着脱式
フィルムカウンター:順算式
シンクロ接点:X-接点(1/30で同調)、(この他もう一つ接点がある)
セルフタイマー:機械式
付属レンズ:Helios-44(58mm F2.0) (フィルター径40.5mm)
サイズ:147×98×58mm(ボディーのみ)
サイズ:147×98×103mm(付属レンズ付)
質量:0.71kg(ボディーのみ)
質量:0.92kg(付属レンズ付)
カメラ番号の頭2桁:61
製造年:製造番号から61年と推定。
製造:KMZ(クラスノゴルスク機械工場)
このようにプリズムがはずせます。
さらに、専用のウエストレベルファインダーを取り付けることも可能です。左はファインダーを閉じたところ、右は開いたところ。なお、ファインダーには専用ケースもあります。
ところで、このカメラの製造台数は7万6千500台余りと比較的少ないにもかかわらず、多少のバラエティーがあるようです。上の2台のSTARTを比較すると、フィルム巻上げレバーの形が異なっています。ちなみに、左は61年製、右は63年製です。
マニュアルの表紙
付属レンズ Helios-44(58mm F2.0) の説明
(Heliosの表示はキリル文字である)
マウント:START専用マウント
F値:F2.0
絞り:F2,2.8,4.5.6,8,11,16
絞り羽根数:8枚
フィルター径:40.5mm(ねじ込み式)
絞り形式:手動
最短撮影距離:0.7m
サイズ:長さ50mm×最大径57mm(最大長は76mm)
質量:0.21kg
製造番号の頭2文字:00
製造:KMZ(クラスノゴルスク機械工場)
製造年:製造番号からは推定できないがカメラと同じ61年と思われる。
レンズを前から見ると、かなり青みがかって、とても美しく見えます。
付属品
カメラケース:皮革製
中古品を購入したので、オリジナルな付属品は不明。
撮影例 色々撮ってみましたが、同じHelios44ですのでゼニットマウントやM42のものと変わりないようです。
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