Zorki-3
ライカに低速シャッターが付け加えられたのは結構早かったと思う。ライカで2軸式のシャッター速度ダイヤルはおなじみである。そして、ライカの解説を読むと、当時はフィルムの感度が低かったので、低速シャッターの需要が多かったと言うようなことが、たいてい書いてある。
ところが不思議なことに、ソ連のカメラで2軸式のシャッター速度ダイヤルを持つカメラは、このZorki-3のみであり、しかも製造数は少ない。低速シャッターのメカニズムが複雑なので、FEDやZorkiには組み込まれなかったのだろうと、これまで勝手に想像してきたのだが、実際にZorki-3のシャッター速度設定のメカニズムを見ると、あっけないほど単純である。どう考えても、難しいから導入しなかったのではなく、低速シャッターを入れる気持ちが無かったので、低速シャッターを入れなかっただけとしか思えない。ソ連では、低速シャッターの需要は多くは無かったのだろうか。
そんなことを推察しても分るわけは無いが、私の場合、低速シャッターは必要ない。三脚は重いので嫌いであるので、低速シャッターは、手ぶれをしてしまい、使い物にならない。かといって、ストロボも面倒なので、あまり使わない。撮影が面倒な状況では写真など撮らない。どうせ素人の遊びごとなのだから、誰に文句を言われるわけでもなし、これで充分。それでも、暗いところで撮りたい時は、思い切り絞れば、Bを使えばよいので、いつもこれで間に合ってしまう。ソ連でもこんな風にみんな写真を撮っていたのだろうか。プロがそんなわけ無いか。
Zorki-3の他、同じような名前のカメラに、Zorki-3M、Zorki-3Cがある。この3種を比較すると、Zorki-3Cが一番多いようである。Zorki-3とZorki-3Mは、どちらが多いかは知らないけれど、どちらも結構珍しい。(Zorki-2の方がさらに珍しい。)もっとも、Zorki-3Cにしても、Zorki-4に比べたら、ずっと少ない。
Zorkiシリーズを表にまとめる。製造年はPrincelle本による。ちなみにPrincelle本によると、Zorki-3の製造年代は1951年〜1954年となっているが、ちょっと信じがたい。
名称 | 製造年 | 着脱 | 視度調整 | シンクロ | タイマー | シャッターリリース |
Zorki | 1949-56 | 底蓋 | なし | なし | なし | レバー |
Zorki-C | 1955-58 | 底蓋 | なし | あり | なし | 袖 |
Zorki-2 | 1954-56 | 底蓋 | なし | なし | あり | 袖 |
Zorki-2C | 1955-60 | 底蓋 | なし | あり | なし | 袖 |
Zorki-3 | 1951-54 | 裏蓋 | あり | なし | なし | レバー |
Zorki-3M | 1954-56 | 裏蓋 | あり | なし | なし | レバー |
Zorki-3C | 1955-56 | 裏蓋 | あり | あり | なし | 袖 |
Zorki-4 | 1956-73 | 裏蓋 | あり | あり | あり | 袖 |
Zorki-4K | 1972-78 | 裏蓋 | あり | あり | あり | 袖 |
Zorki-5 | 1958-59 | 底蓋 | あり | あり | なし | ボタン |
Zorki-6 | 1959-66 | 裏蓋 | あり | あり | あり | ボタン |
注)表のシャッターリリース欄は、撮影終了時のフィルムを巻き上げる時に、何を操作するかを示している。袖とは、シャッターボタンの周りの部分を動かすことを意味する。
Zorki-3の特徴は低速シャッター速度ダイヤルが前面にあること。Zorki-3Mになると1軸に改良されている。
裏蓋をはずしたところ。
Zorki-3の初期のものは、底部に転倒防止金具がついていた。
転倒防止金具
ケースにも金具がついている
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