KMZ


　1966年レーニン勲章受賞、1976年労働赤旗勲章受賞。

　KMZのマークはプリズムに光線が入射した時の図である。光線の右側が矢印になっているものもある。また、1940年代は台形のみで光線が無かった。

　


　ＫＭＺの正式名称はКрасногорский　Механический　Завод(Krasnogorsk Mechanical Factory)(クラスノゴルスク機械工場)であり、頭文字を取ってＫＭＺと言う。ZORKIシリーズ、ZENITシリーズで有名であり、ソビエト−ロシア光学機器工場の中で指導的立場に有る。

　ただし、現在は名称が変更になっている。
　ロシア語名称：ОАО "Красногорский завод имени С.А. Зверева"
　英語名称："S.A. Zverev KRASNOGORSKY ZAVOD" Joint Stock Company


　クラスノゴルスクはモスクワ市の北西に位置し、モスクワ近郊にある。（モスクワ中心部からは20Km程度。）

KMZは公式には1942年2月創立ということになっており、このため1992年にZENITカメラの50周年記念バージョンが発売されている。実際には前年の1941年から一部生産がはじまっているようである。
　1941年6月22日ナチスドイツは独ソ条約を一方的に破り、ソ連に奇襲攻撃を仕掛け、ソ連領土に侵略を開始、同年秋にはモスクワ近郊まで攻め込んだ。しかしスターリンはモスクワにとどまり対決の決意を示すと共に、国民を鼓舞し本格的戦争指揮を行った。同年11月モスクワの戦いが起こり、12月の初めにソ連軍は反撃を加えドイツ軍を250Km後退させるのに成功した。
　こうした中、多くの工場はウラル、シベリア地方に疎開した。KMZはスベルドロフスクス郊外へ移転した。この時期レニングラードのGOMZやGOI（現：LOMO）は操業不能の状態に有ったので、軍に必要な光学製品を、FED労働者の援助およびFED生産設備を使って、ここスベルドロフスク郊外のKMZで製造した。この時期製造したものは双眼鏡や距離計など軍製品であった。 1944年軍の要求に基づきフォトスナイパーの製造に着手、1945年初にはTAIR300mm付フォトスナイパーを100台製造している。
　1945年5月ベルリン陥落。
　1946年初頭にはクラスノゴルスクで生産開始の準備が整い、この年蛇腹カメラ「モスクワ−1」およびオペラグラスを生産した。1948年FEDの技術者の支援によって、レンジファインダーカメラFED-KMZ,FED-ZORKIを製造した。（FED-KMZはFED-ZORKIのプロトタイプである。）翌1949年ZORKIシリーズの生産が本格的に開始された。なおZORKIシリーズは1978年まで製造を行いその総数は450万台を数えるにいたった。
　1952年一眼レフカメラZENITシリーズの製造を開始し、現在に至るまで製造が続いている。なお、ZENITの名前は1948年から使用されている。（注：一眼レフカメラZENITの一部にはBelomoで生産されたものも有る。）
　1950年代後半、一部レンズの製造は、ZAGORSK、LYTKARINO、KAZAN等KMZの衛星工場に移されている。
　1965年コンパクトカメラZORKI-10の生産開始。1967年パノラマカメラHORIZNの生産開始。（HORAIZONは現在も生産中である。）
　現在、KMZでは「カメラ製品」「レンズ」「ナイトビジョン」「スコープ類」「医療機器」等を生産している。

現在(2000年)製造中のカメラ製品