勲章と記章
勲章のことを英語では「order」と言う。これには階級、地位、騎士団の意味が含まれており、もともとは功績のあった者が支配階級の一部に迎え入れられる栄誉を意味した。また、同時に支配階級に属する者に威厳を与えるためのものであった。そして、多くの勲章は一部支配階級にのみ与えるためのものである。
日本の勲章制度もヨーロッパの制度を真似したもので、天皇の大権行使の1つとして授与された。現在、日本ではさすがに天皇の大権ではないが、天皇から賜ると言う形式は戦前とかわるところが無い。また、皇太子妃に勲章を与えることと言い、封建国家における叙勲制度そのものである。
ソ連邦では勲章は高い功績に対して、その功績をたたえるために国家が授与するものであり、封建制度における勲章と意味合いを異にし、真に国民の栄誉を意味している。もちろん誰かと結婚したからもらったと言うような封建国家体制の勲章は存在しない。
ところで、現在日本では勲章のほかに褒章と言うものがある。褒章とは「栄誉の記章」とでも言うものである。これは勲章ほど高くないが優れた功績に対して与えられる。かつての日本では戦争で高い功績を挙げると金鵄勲章を授与された。一方、戦線に従軍すると、場合によって従軍記章なるものが授与された。このように、一般に勲章のほかに記章の制度がある。
ソ連邦においても勲章のほかに記章があり、数の上では勲章より多い。ただし、ゴールドスターメダルのように非常に高い功績に対して与えられたものもあり、一概に勲章より格下と言うわけではない。
なお、記章は英語では「Medal」である。