KGBの国内活動




1.軍の監督
  KGBを構成する各組織のうち、一番大きく、一番重要なものは軍管理局(第三総局)である。
軍内のKGB組織は、軍令系統や政治機関の系統とは全く無関係で、独立した階層を形づくっている。

 軍内KGBの職員は、軍服を着用してはいるが、他の勤務員と異なり、上級KGB機関に服属しているだけである。したがって、たとえば連隊のKGB将校は、必要とあれば連隊長の命令を拒否できることになっている。

 軍の一定規模以上の部隊・施設・機関、たとえば国防省の各局、学校、研究所、最高裁判所の軍事部、各軍管区、師団、艦隊、航空隊など、にはすべてKGB将校がおり、彼らはすべて、KGB軍管理局に服属している。軍管区や集団軍には通常五〇人か、それ以上のKGBの管理将校と補助職員がいる。師団いるKGBは通常、課長、課長代理、先任将校一人、それに数人の管理将校(その数は監督する連隊の数によって違う)と補助職員から成っている。各連隊または独立大隊には少なくとも一人のKGB将校がいる。大きな隊になると二人または三人以上のKGB将校がいる。

 KGB将校は、重要な幕僚会議や昇進打合せ会議に出席し、計画立案などにも関与する。任命、徴募、昇進、民間人の雇用などの人事問題は、すべてこの将校の認可が必要であ.る。KGB将校はまた射撃訓練にもたちあう。



2.クレムリンの警備(要人警護)

 クレムリンの警備は、KGBクレムリン警備隊の任務である。クレムリンの各門や、クレムリン構内の閣僚会議ビル、最高会議幹部会ビルの内外は、青色の鉢巻きの制帽をかぶったKGB制服部隊(クレムリン警備隊)によって警備されている。域壁外の赤の広場に面したレーニン廟の警備もKGBの管轄である。
 また、要人たちのボディー・ガード、そのオフィスや私宅の警戒の責任もKGBが負っている。政治局員クラスになると、一人につき八○人から一〇〇人のKGB将校が、交代で二四時間中、警護にあたっているといわれる。ゴルバチョフ書記長になって、ライサ夫人がしきりに公共の場にあらわれるようになり、KGBはあらたに政治局員に準ずる警護体制を彼女のためにとらざるをえなくなったという。 これはまた、KGBが要人の動静を完全ににぎっているということであり、その政治的意味は大きい。


3.国境警備

 ソ連の長大な国境線を防衛する国境警備軍(国境軍と訳される場合もある)はKGBの管下にある。国家保安委員会に国境警備軍総局がおかれ、国家保安委副議長をかねる国境警備軍総局長官が国境警備軍を統轄している。ソ連軍(国防省の管轄の正規軍)とは指揮、命令系統を全く異にするこの国境警備軍は、総延長六万七千キ口におよぶソ連国境を九つの国境警備管区にわけ、領土と領海の保全にあたっている(領空についてはソ連軍の防空軍が担当)。国際空港で出入国管理をするのも国境警備軍である。国境警備軍の任務は、まず密出国者のとりしまりであり、それについで外部からの侵入者の阻止だという。


4.外貨関係犯罪のとりしまり

 ソ連では、国内通貨であるルーブルのほかに、在住外交官らが外貨専門店(いわゆるドルショップ)でつかうチェック(ルーブル表示だが、外貨の裏付けのある金券)と、旅行者などがホテルや空港などでつかう現金の外貨(ハード・カレンシー)の二種の外貨が混在しているため、外貨をめぐる犯罪がおこりやすい。このとりしまりは一般警察(内務省管下のミリーツィア)ではなく、KGBの管轄とされている。


5.ソ連全国家機関の監視

 KGBの監視は、軍隊だけでなく政府や国営企業、マスコミ機関、研究・教育機関などあらゆる国家機関におよぶ。とくに外国貿易省やインツーリスト(政府観光局)、全ソ商業会議所など、外国人と広く接触する機関には、すべてKGBの係官が配置される。


6.ソ連邦内における破壊活動の防止、鎮圧

 たとえば,ストライキや暴動など公然たる反体制活動はもちろん、文筆・言論や集会・デモなどによる"反ソ活動"をもとりしまる。


7.ソ連内外における防諜

 ソ連国内に潜入したスパイはもちろん、公式に活動している各国大公使館の職員、通商関係者、新聞・放送特派員、さらに一般の旅行者も防諜の立場からKGBによって監視されることがある。



KGBの国外活動



1、外国での情報収集

 KGBの対外活動のうち最大のものは、各国の政治・経済・科学技術・運輸・通信、軍事、社会情勢にかんする情報の収集である。このため、かつて西側には「KGB=スパイ」の図式を宣伝する論調があった。しかし、当然のことであるが、合法的なものの方が非合法情報収集に比べはるかに多いので、実際のKGB職員の活動の多くは合法活動であった。(もちろん、非合法な情報収集活動もKGBの職務範囲である。)
  一九七〇年代にはいって、とくに活発化してきたのが科学技術情報の収集活動である。とりわけ外国の核研究、ミサイル、宇宙開発、電子制御、超LSIチップ関係の情報やサンプルの獲得が重視されていた。KGBは科学技術局という専門部局をもち、科学技術の知識をもつスペシャリストを各国駐在の大使館に派遣するほか、政府の国家科学技術委員会が国際学術会議に代表を参加させる場合、その人選にKGBは科学技術局が深く関与していた。


2、政治工作

 KGBの対外活動は、情報収集という消極的活動に終始していたわけではない。
 西側諸国の政治家やジャーナリストに接近し、ときには金銭をも提供して、政策や世論をソ連に有利に誘導すること、あるいは、場合によっては、ニセ情報を握造して外国にながし、撹乱をはかることも行う。
 さらに、場合によっては、破壊活動、政権転覆工作などもKGBの職務領域である。


3.国外で勤務するソ連人などにたいする監視

 国外にいるソ連の外交官や通商代表部員、新聞記者、旅行者もソ連の機密をもらしたり亡命したりしないようにKGBが監視している。


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